春から初夏にかけて人気のアウトドアといえば潮干狩り。その中でも、ニョキッと出てくる姿がユニークな「マテガイ」は、見て楽しい・とって面白い・食べて美味しい三拍子そろった貝です。
この記事では、マテガイの基礎知識から潮干狩りの準備、とり方、食べ方までをまるっとご紹介します。
マテガイとは?特徴と外観
マテガイってどんな貝?
マテガイ(馬刀貝)は、細長い形状が特徴の二枚貝で、英名では「razor clam」とも呼ばれています。日本全国の干潟に生息し、潮干狩りのターゲットとして近年人気が高まっています。動きが早く、塩をかけると飛び出す姿がユニークで、子どもから大人まで楽しめる貝です。
マテガイの見た目とサイズ感
マテガイの殻は細長く、まるでナイフや刀のような見た目をしています。色は黄褐色や茶褐色で、つるつるした表面を持ちます。大きさは平均で10〜15cm程度、太さは1〜2cmとスリム。身はやや透き通っていて、火を通すとプリッとした食感になります。

マテガイの生息地ととれる時期

マテガイがとれる場所(生息地)
マテガイは全国の干潟や砂地に生息しており、特に関東地方(千葉・神奈川)、東海地方(愛知・三重)、九州地方の一部などでよく見られます。水はけが良く、やや締まりのある砂地を好みます。潮が引いたときに現れる広めの干潟がある場所が狙い目です。
マテガイがとれる時期・シーズン
マテガイの潮干狩りシーズンは、春〜初夏(3月〜6月)です。この時期は気温が安定しており、干潮時にしっかりと干潟が露出するので、安全かつ快適に潮干狩りが楽しめます。夏以降は水温が上がりすぎることもあるため、春のうちに計画するのがおすすめです。
潮干狩りに適した干潮時間の調べ方
潮干狩りは「干潮時間」に合わせることが重要です。特に潮位が大きく下がる【大潮】の日が狙い目。干潮時間の前後2時間程度が潮干狩りのゴールデンタイムになります。
事前にインターネットや潮見表アプリで潮位と時間をチェックしておきましょう。「○○(地名) 潮見表」などで検索すると、エリアごとの情報が簡単に手に入ります。

干潮時間は場所によって若干変わるので、事前に潮見表をネットなどで確認しておくとよいですよ。
潮干狩りでマテガイをとる準備

マテガイの採取には、いくつかの基本的な道具が必要です。
必要な道具とアイテム一覧
ハンドスコップまたはシャベル(小さめ)
- 砂や泥を掘るための基本的な道具です。
- 手軽に持ち運べるサイズのものが便利。
- 潮干狩り用のスコップを探す

くわ
- また小さめのくわも使えます。
- スコップやシャベルよりも砂を水平に掘りやすく、効率的にマテガイを取ることができます。
- 潮干狩りで使えるくわを探す

塩(500g〜1kg)
- マテガイをおびき出す必須アイテム。
- 塩を穴に少量振りかけると、塩分濃度の変化に反応したマテガイが自ら出てきます。
- 普通の食塩で十分ですがかなり消費するので多めに準備しておきましょう。
- 1kg入りの塩を探す
ボトル
- 塩を入れて穴に注ぐ容器です。
- 先端が細くなっているふた付きの調味料ボトルが使いやすく便利!
- 塩ケースとして使えるドレッシングボトルを探す

マテガイ掘りに特化した、鍬(くわ)&塩入れボトルセットです。

網(ネット)
- とったマテガイの一時保管用。
- 海水でじゃばじゃばと貝についた砂を流せるので、バケツの他にネットがあると便利です。
- 貝取りネットを探す


バケツ
- 砂抜き用に海水を汲むときに使います。
- このような座れるタイプだと砂浜に置いて休憩できるのがポイント。
- バケツを探す

クーラーボックス・保冷剤
- 帰宅時の鮮度保持用。
- ふたがきっちりと閉まるクーラーボックスが適しています。
- クーラーボックスを探す


クーラーボックスに座っている人も見かけるよ。
服装
潮干狩りをする場所は、潮の引いた陸地とはいっても波打ち際まで行ったりお子様は潮だまりで水遊びになることがあります。 服装は快適さと安全性を考慮して選ぶことが重要です。

暑かったり寒かったり気温が不安定な時期なので、体温調整できるように羽織れる上着があるとよいですね。
動きやすく濡れても良い服装
水着の上にラッシュガードなど、濡れても大丈夫な服装がベスト。4月~5月にかけて紫外線も強くなるためUV対策も兼ねた服装を選びましょう。

マリンシューズ、長靴
足元はマリンシューズ等、安全に歩けるものを選びます。砂で汚れるため現地で履き替えるようにしましょう。

詳しくは マリンシューズ特集をチェック。
潮干狩りの持ち物
スマホの防水ケース
- 大切なスマホを守るため海でのレジャーに必須です!
- 防水ケースを探す

ウォータータンク+シャワーポンプ
- 現地の水道が混雑していることも多いので、10Lくらいのウォータータンクがあると非常に便利。
- 汚れた手や道具をサッと洗えます。
- ウォータータンクを探す
また、電池いらずで使えるシャワーポンプはアウトドアで重宝する一品です!
市販のポリタンクにセットできるのがポイント。

手袋
砂や泥から手を保護するために使用します。特に長時間作業をする場合は、手が摩擦で水ぶくれになってしまうこともある(これ激痛です)ので手袋はあった方がよいです。
水やお茶
砂浜は日差しを遮るものがないので水分補給用の水筒、ペットボトルも事前に準備します。
着替え
お子様の分はもちろん、大人でも濡れてしまうことも多いので、パンツや靴下まで一式準備した方がよいでしょう。
潮干狩りを楽しめるように、必須の持ち物からあると便利な道具までチェック!!
【実践編】マテガイのとり方・手順を解説
塩を使ったマテガイのとり方
マテガイをとるためにはちょっとしたコツが必要です。
マテガイは塩分の濃度の変化にとても敏感。巣穴に急に塩分が入り込むと「ピョコッ」と飛び出してきます。
この性質を利用して、塩を使ってマテガイを誘い出し、顔を出したところを引き抜くという方法が定番です。
手順

- Step1穴を探す
干潟に着いたら、まずは小さな穴が点々と並んでいるゾーンを探しましょう。目を凝らしてみると、丸〜楕円形の穴が無数に見つかるはずです。
- Step2浅く掘って確認する
穴があるところの表層をシャベルで7cm~10cmほど平らに掘ります。丸から楕円形の穴があいていたらそこが狙い目。表面だけにあいている穴も多いので、掘ったときに残っている穴にはマテガイがいる可能性が高くなります。
- Step3穴に塩を入れる
穴の上に塩をひとつまみ〜小さじ1ほど注ぎます。たっぷりと中まで入れた方が反応がよいです。
- Step4少し待つ
早ければ数秒〜10秒ほどで、マテガイが「ニュッ」と顔を出してきます。
この瞬間がたまらなく楽しい!
- Step5マテガイを引っ張る
顔を出したらチャンス!
マテガイの「殻の部分」をしっかりつかんで、ゆっくり引き抜きましょう。よし、つかみはOK!!
見出しこのとき、マテガイの身の部分を引っ張るとトカゲのしっぽのように切れてしまうので、殻の部分を引っ張るのがポイント。
その調子っ!!
うまくいくと、このようなマテガイがとれます♪
実際の様子を動画でチェック!
実際にマテガイが出てくる瞬間を動画で撮影しました!
塩をかけてから出てくるまでのワクワク感、ぜひチェックしてみてください。
掘ってマテガイをとる方法はアリ?
塩を使わずスコップで掘る方法もありますが、マテガイは非常にすばやく潜っていくため、深く掘る必要があります。さらに、貝が傷ついたり割れてしまうリスクもあるので、塩を使って出てきたけど潜られた!というときの応急処置として掘るくらいが良いと思います。
塩を使った方法が確実でおすすめです。
マテガイの砂抜き・下処理方法

とったマテガイはそのままだと砂をたっぷり含んでいることがあります。美味しく食べるためにきちんと「砂抜き」しましょう!
マテガイの砂抜き方法
- 海水または塩水を用意
- 持ち帰った海水があるとベストです。
ない場合は水1リットルに対して30グラム(大さじ2杯)の塩が目安。
- 持ち帰った海水があるとベストです。
- 容器に塩水とマテガイを入れる
- 広めの容器(バットや大きなボウル)に塩水とマテガイを入れます。この時、マテガイ同士が重ならないように広げて入れると効果的です。重なりすぎると砂を吐きにくくなります。
- 暗くして静かにする
- 涼しい場所または冷暗所で2〜3時間ほど放置します。できれば一晩(6~12時間)かけると確実です。途中で塩水を交換する場合は新しい塩水を同じ濃度で準備してください。
※しっかりふたをして暗くすることで、活発に砂を吐いてくれます
- 涼しい場所または冷暗所で2〜3時間ほど放置します。できれば一晩(6~12時間)かけると確実です。途中で塩水を交換する場合は新しい塩水を同じ濃度で準備してください。
砂抜きの注意点
- 温度管理
- 室温が高すぎるとマテガイが弱ってしまうため、涼しい場所で砂抜きを行うことが重要です。特に夏場は冷蔵庫の野菜室に入れるなどして温度管理を行います。
- 塩水の濃度
- 塩の濃度が薄すぎるとマテガイが砂を吐き出しにくくなり、逆に濃すぎるとマテガイが弱ってしまいます。海水と同じくらいの濃度(約3%)を守ることが大切です。
- 容器の大きさ
- 容器はマテガイが重ならずに広げて入れられる大きさのものを使用します。小さすぎる容器だと砂を吐きにくくなります。
- 衛生管理
- 砂抜きの際には衛生管理も重要です。使う容器や塩水を清潔に保ち、砂抜き後のマテガイも早めに調理して食べるようにします。
砂抜きの効果を確認する
砂抜きが完了したら、マテガイを取り出して砂が出ていないか確認します。水がきれいになっていれば砂抜きが完了しているサインです。確認後、流水で軽く洗い流してから調理します。
これらのポイントを押さえて、マテガイの砂抜きをしっかり行うことで美味しい料理を楽しむことができます。

持ち帰った海水でおこなうと綺麗に砂が抜けますよ。
潮干狩りでとったマテガイの食べ方

マテガイはその独特の風味と食感が魅力でクセが少ないため。煮る、蒸す、焼くといった様々な調理法に向いています。
マテガイの代表的な食べ方をいくつか紹介します。実際に我が家で作ってみた調理法です。
マテガイのボンゴレ風パスタ
オリーブオイルとにんにくで香りを出し、マテガイを軽く炒めて白ワインで蒸し焼き。そこにゆでたパスタを絡めれば風味豊かなボンゴレ風パスタの完成。ハマグリやアサリとはまた違う、マテガイのプリプリ感が楽しめます。

マテガイのバター炒め
シンプルながら旨味たっぷり!
- バターでにんにくを炒め
- マテガイを加えてさっと火を通す
- 醤油や白だしで味を整えるだけで完成!

マテガイの炊き込みご飯
砂抜きしたマテガイを生のまま、 ・米2合に対して ・酒大さじ2、醤油大さじ1、だし少々 で炊き込むだけ。 炊きあがったら貝殻を外し、混ぜ込めば風味たっぷりの一品に。

この他にもお味噌汁、酒蒸し、揚げ物、つくだ煮、基本的にどんな料理にも応用でき、とても美味しいです。

風味はアサリに近く、見た目は変な形なのに美味しいのは感動!
関東で潮干狩りができるおすすめスポット
関東で潮干狩りができるおすすめスポットをご紹介します。
- 千葉ポートパーク
- 人工の浜辺「ビーチプラザ」で潮干狩りが楽しめます。干潟ではなく砂浜からの採取ですが、マテガイが比較的とれやすいのが特徴。
体験メモ|千葉ポートパークでのマテガイ採り
千葉ポートパークの干潟では、運が良ければたくさんのマテガイ穴が見つかります。
子どもたちも「掘って塩かけて引っ張る」という簡単な流れに夢中。
家族で楽しむ春のレジャーにぴったりです♪
まとめ│とって楽しい、食べて美味しいマテガイ

マテガイは、塩を使ってとるというユニークな方法と旨味たっぷりの味わいで、潮干狩りの中でも特に人気の高いターゲットです。
家族でワイワイ楽しみながらとれる上、簡単な調理で食卓にも嬉しい一品に。春〜初夏のレジャーとして、ぜひマテガイ潮干狩りにチャレンジしてみてください。

つい夢中になって掘ると筋肉痛になるので注意です!
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